はじめに
水圧試験は管路の接合、付属設備の取り付け、異形管防護工などの施工が終了した後、布設された管路全体の水密性、安定性を確認するため必要に応じて行います。
ダクタイル管路の試験方法は、一般的に、中小口径管路では管路水圧試験が適用され、大口径管路ではテストバンドによる継手部の水密試験が適用されています。
下水道の圧送管路の簡便な試験方法として空気加圧による試験方法を求める要望がありますが、この方法は試験に爆裂などの危険が伴い、また、その空気漏洩の判定も技術的に困難であることから当研究会としては推奨しておりません。
ダクタイル管路の試験方法は、一般的に、中小口径管路では管路水圧試験が適用され、大口径管路ではテストバンドによる継手部の水密試験が適用されています。
下水道の圧送管路の簡便な試験方法として空気加圧による試験方法を求める要望がありますが、この方法は試験に爆裂などの危険が伴い、また、その空気漏洩の判定も技術的に困難であることから当研究会としては推奨しておりません。
管路水圧試験(中小口径管路)
1.管路概要の把握
水圧試験を実施する管路の概要を十分に把握しておきます。すなわち、管路の呼び径、延長距離、布設経路やバルブ、空気弁などの位置、地中埋設部や地上配管部などを事前に確認しておく必要があります。
なお、管路の異形管部は水圧による不平均力により移動しようとする力が作用します。このため、異形管部は適切な異形管防護工が確実に行われていることおよび管路は設計図書で規定されている土被りが確保されていることが水圧試験の重要な条件となるので確認しておくことが必要です。
なお、管路の異形管部は水圧による不平均力により移動しようとする力が作用します。このため、異形管部は適切な異形管防護工が確実に行われていることおよび管路は設計図書で規定されている土被りが確保されていることが水圧試験の重要な条件となるので確認しておくことが必要です。
図1 水圧試験管路の巡視
2.水圧試験の手順
水圧試験は下記手順により行います。
- 準備工
- 充水
- 管路の点検
- 水圧試験
- 試験結果の判定
- 管内水の排水
3.水圧試験設備
管路の低い方の末端部に図2に示すような水圧試験設備を設置します。この時、管路の両末端部には抜けだし力が作用するので十分な防護を施す必要があります。また、管路の高い方の末端部には排気用管を立ち上げます。
図2 水圧試験設備の配管例
4.試験水圧基準
試験水圧は、設計水圧で採用されている水圧を最高試験水圧とし、過大な水圧をかけてはなりません。
5.加圧方法
- 管内の残留空気の排除や、モルタルライニングへの吸水の影響を少なくするため、水圧試験は管路に充水後一昼夜程度経過してから行います。
- 管路への加圧当初はエンジンポンプなどにより行います。所定の水圧に近づいたら手動ポンプなどで微調整を行い、試験水圧まで加圧します。
- 試験水圧まで加圧した後、一定時間保持し、その間の管路の異常の有無、急激な圧力低下の無いことを確認します。
- 一般的には、圧力保持後、圧力低下が認められますが、❷❸の作業を繰り返すことにより圧力低下の度合いは少なくなります。
試験結果の判定
1.一般事項
- 一般に、管路の水圧試験時には下記の原因により、管路に漏水がなくても初期圧力から30%程度低下することがあります。
1.モルタルライニングへの吸水
2.残留空気の水中での溶存、水中への溶解
3.不平均力による異形管部の微移動
- 管径、延長により、圧力低下の度合いは異なります。
- 一般的には、管路水圧試験(中小口径管路)5.加圧方法の❷❸を繰り返し、圧力低下の度合いが少なくなれば漏水は無いものと判断できます。
- 管路に漏水がある場合、初期圧力から70%程度以内に圧力を保持することは難しくなります。
- 水管橋部など管路が露出している所では、外気温の影響(温度変化)により圧力が上昇あるいは低下する事もあります。
図3 圧力保持試験例
2.判定
- 圧力を所定時間保持させ、この間管路の異常の有無および圧力変化を記録します。
- 所定時間経過後、管路に異常がなく、例えば1~3時間後の圧力の低下が初期圧力から30%程度以内であれば合格とします。
ただし、水圧試験で管路に異常が認められた場合は、その原因を究明し、対策を講じた後、再試験を行います。
テストバンドによる継手部の水密試験(大口径管路)
1.テストバンドによる継手部の水密試験手順
- 継手の清掃および支持リングの心出し
- ゴムリングのセット
- ゴムリング保持器の取付け
- 本体の移動
- 締付けボルトの締付け
- テストバンドへの充水
- 加圧
図4 テストバンド設置例
2.継手部の水密験試基準
- 試験水圧は通常0.50MPa程度を負荷します。
高圧になると、モルタルライニングと管体鉄部との間に水が浸透し、圧力が保持しにくいので、試験水圧は通常0.50MPa程度が適当です。これ以上の水圧に対しても継手の水密性能により十分耐えられることが実証されています。 - 試験水圧にて5分間経過後に0.40MPa以上保持すれば合格とします。(「水道施設設計指針・解説」2000)
万一テストバンドからの漏えいまたはモルタルライニング部への水の浸透が認められないにもかかわらず、水圧が上がらない時または圧力保持中急激な圧力変化が生じた場合は、テストバンドを取りはずし、継手部を点検、修理後再試験を行います。
図5 圧力保持試験例
写真1 テストバンドによる継手部水密試験